「お買い上げ100円ごとに当ショップのポイントを1ポイントを進呈します」
アパレルや食品など、多くの有人店舗が、独自のポイントを発行しています。
同様に、ECやネットショップでも独自のポイントを発行することは可能です。
この記事では、ショップ独自のポイントを発行する場合の注意点を弁護士が解説します。
ポイント発行に届け出等は不要
慎重な方であれば、ショップ独自のポイントを発行するとなると、何やら金融庁所轄の免許や届け出がいるのではないか・・・と連想してしまうかもしれません。
しかし、現在のところ、我が国では、店舗が独自のポイントを発行するにあたって、特段の許認可や届け出は必要ではありません。
そのため、ショップ独自のポイントは、自由に発行することができます。
ただし、以下で述べるいくつかのルールがありますので、発行にあたっては十分に注意をしてください。
前払いは原則NG!
まず、前払式のポイントを発行するのは原則NGです。
たとえば、現金1,000円を払い込んで1,000ポイントを獲得する、といったものは、原則として資金決済法という法律で規制される「前払式支払手段」となり、届け出等が必要になってきます。
なお、有効期限を6ヶ月以内とする場合は、前払式支払手段ではあるものの、資金決済法の適用が除外されますので、届け出などなく発行することができます。詳細は、また別の記事でご紹介します。
ここでは、一般的な「○円お買上げごとに○ポイント進呈」といったポイントを発行する場合、前払いでポイントだけを購入させることは原則NGなのだと覚えておいてください。
ポイントを現金に換金することは可能
では逆に、お買い物で取得したポイントを現金に換金することは許されるのでしょうか?
先ほど説明した資金決済法上の「前払式支払手段」の場合は、払戻しが原則として禁止されているのですが、前払式支払手段に該当しないポイントの場合は、現金との交換(換金)も可能であると考えられています。
ただし、一般的なEC・ネットショップで、現金への換金可能なポイントを発行する必要性は低いのではないかと思われます。
ポイントの付与率には上限がある!
自由にポイントを発行できるといっても、たとえば「100円お買い上げで50ポイント(1ポイント=1円で利用可能)進呈」といった、超高付与率のポイント発行は許されるのでしょうか?
答えは「NO」です。
この点に関しては、「景品表示法」という法律が、過剰な景品による消費者の誘引を禁止しています。
具体的には、取引価格が1000円未満であれば200円、1000円以上であればその取引価格の10分の2がポイント付与の上限となります。
「ポイントの付与率は20%が上限」と覚えておくと良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
いくつかの制約は存在しますが、現在の法律では、EC・ネットショップも自由に独自のポイントを発行できます。
顧客に対する訴求策のひとつとして、是非独自ポイントの利用も検討してみましょう。