EC・ネットショップを開設するときには、必ず商品の写真を準備することになりますが、他人が撮影した商品の写真を勝手に掲載することは許されるのでしょうか?
特に、自社製品を販売するだけではなく、ドロップシッピング(無在庫転売)のような形で他社製品を販売する場合、ついつい既存の写真を使って手間を省きたくなってしまいますが、それって法律的に大丈夫でしょうか・・・?
弁護士が解説します。
商品写真には著作権がある
まず、他人が撮影した商品の写真には、撮影者に著作権が成立する可能性が高いと考えておくのが無難です。
「商品の写真なんて誰が撮っても似たりよったりになるのに著作権があるの?」と思う方もいるかも知れませんが、日本の著作権法上、写真については比較的簡単に著作権の成立が認められています。
機械的に撮影されるものについては、創作性が否定され、著作権が成立しない可能性もありますが、著作権が成立する/しないは、裁判で判決が出るまでわかりません。
そのため、ビジネスとしてネットショップを運営する以上、リスク判断として、「商品写真には著作権が成立する」という前提で物事を考えるのが無難です。
無断利用した場合は著作権侵害になる
そして、撮影者に何らの許諾も取らずに、勝手に他人が撮影した写真を利用した場合は、著作権侵害となります。
民事上は、著作権侵害に基づく差し止め請求や、損害賠償請求を受ける可能性がありますし、刑事上も、著作権侵害罪が成立する可能性があります(10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれらの併科という重い刑罰が定められています。著作権法109条1項)。
「たかだか商品の写真を転用しただけで訴えられる可能性なんて低いのでは?」と思うかもしれませんが、クリエイターの間では写真に著作権が成立することは常識です。
無断転載されたことに激怒した撮影者が、裁判という手段に訴えるかどうかは別として、あなたのショップに対する何らかの抗議を行う可能性は十分に考えられます。
堂々と著作権侵害行為を行った場合、あなたのショップの評価(レピュテーション)に重大な悪影響が及ぶ可能性がありますので、あまり軽く考えないようにしましょう。
著作権侵害にならない方法
ではどうすればよいのかですが、どうしてもその写真を利用したいのであれば、もっともシンプルな方法は、写真の撮影者に利用許諾を取り付けることです。
メーカーから仕入れた商品を販売するのであれば、メーカーのカタログに掲載されている写真の利用についても、併せてメーカーから許諾を取り付けることになります。
これとは異なり、仕入れ元との関係性が希薄で、写真の利用許諾について交渉することが難しい場合には、自分で仕入れた商品の写真を撮影することが考えられます。
自分で撮影した写真であれば、その写真の著作権は勿論ご自身にありますので、自由に写真を利用することができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
まずは商品写真にも著作権が成立することを理解した上で、撮影者の許諾を取り付けるかご自身で改めて撮影するかの対応をとるよう心がけましょう。