弁護士が教える反社会的勢力でないことに関する確約書の作り方

この記事では、弁護士が、一般的な「反社会的勢力でないことに関する確約書」の作り方をひな形条文つきで解説します。

「反社会的勢力でないことに関する確約書」を今すぐ準備しないといけない方は必見です。

本記事で紹介する文書はKIYACで簡単に作ることができます。

目次

反社会的勢力でないことに関する確約書とは

反社会的勢力でないことに関する確約書とは、その名前の通り、自らが反社会的勢力(暴力団など)ではないことを、取引先に表明・確約する文書のことです。

近年、コンプライアンス意識の高まりにより、上場企業だけではなく、中小企業においても、取引開始にあたって反社会的勢力ではないこと、反社会的勢力との関わりがないことの表明保証を求められることがあります。

このようなときに取引先に差し入れる、または取引先から差し入れてもらうのが、反社会的勢力でないことに関する確約書です。

なお、業務委託契約書等、取引関係成立後に締結する契約書の中で、反社会的勢力の排除条項が定められることがあります。こちらも同じ趣旨、目的をもった条項になりますが、契約書とは別途、差し入れを求められた場合には今回紹介するような書式を利用することになります。

各条項の解説

反社会的勢力の定義

まず重要になるのが、反社会的勢力の定義です。

なんとなく、指定暴力団などは反社会的勢力であることは想像ができると思いますが、どこまでが反社会的勢力に該当するのか、一般のイメージは曖昧だと思います。

また、国の法律でも反社会的勢力の定義を定めたものはなく、各自治体の暴力団排除条例等の中で定義がされており、その定義も都道府県ごとにまちまち、という状況です。

そのため、まず、反社会的勢力ということばが一体何を意味するのかを明示する必要があります。

たとえば次のように定めることができますが、より厳密に検討したい場合は会社の所在する都道府県の暴力団排除条例などを参照してみるとよいでしょう。

暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下「反社会的勢力」といいます。)

反社会的勢力に該当しないことの表明

続いて、反社会的勢力に該当しないことを表明します。

該当しないだけではなく、関わりを持っていないことについても表明するのが一般的です。

さらに、反社会的勢力に該当しない、関わりがないということだけではなく、「反社会的勢力がやっていそうな行動・言動を行なっていない」ことについても表明保証すると、より丁寧です。

以下ではこれら3類型を表明する場合の条項例をご紹介します。

第○条

1 本書末尾記載の当社は、現在及び将来にわたって、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下「反社会的勢力」といいます。)のいずれにも該当しないことを表明し、確約いたします。
2 当社は、現在及び将来にわたって、前項の反社会的勢力と次の各号のいずれにも該当する関係を有しないことを表明し、確約いたします。
① 当社の代表者、役員、支配人その他重要な従業員又は経営を実質的に支配する者が反社会的勢力であること
② 反社会的勢力が経営に実質的に関与していると認められる関係
(中略)

3 当社は、自ら又は第三者を利用して次の各号のいずれの行為も行わないことを表明し、確約いたします。
① 暴力的な要求行為
② 法的な責任を超えた不当な要求行為

(以下略)

委託先についての表明保証

さらに、当社からの委託先や再委託先も、反社会的勢力には該当しないことを、表明保証する場合があります。

特に委託・再委託が一般的に想定される業界、業務であれば、こちらの条項も挿入しておくのがよいでしょう。

第○条 当社は、下請け又は再委託先業者(下請業者又は再委託先業者が数次にわたるときは、その全てを含みます。以下同様です。)との関係において、次の各号のとおりであることを表明し、確約いたします・・・(以下略)

表明保証違反に対する法効果

さいごに、表明保証違反があった場合、どのような法律効果が発生するのかについて記載します。

ここでは、取引停止や賠償責任について記載する場合の条項例を紹介します。

第○条

 当社は、前各項のいずれかを満たさないと認められることが判明した場合、及びこの表明、確約が虚偽の申告であることが判明した場合は、何らの催告なしで貴社との取引が停止され、又は貴社との間の契約を解除されても一切異議を申し立てず、また賠償ないし補償を求めないとともに、これにより貴社に損害が生じた場合には、その一切を当社の責任とすることを表明し、確約いたします。

反社会的勢力でないことに関する確約書を作成するときに気をつけること

以上、反社会的勢力でないことに関する確約書を作成するときに気をつけるべきことは

  • 反社会的勢力の定義
  • 反社会的勢力に該当しないことの表明
  • 委託先についての表明保証
  • 表明保証違反に対する法効果

です。

なお、今回紹介したひな形条文については、いくつかの質問に答えるだけで法律文書を自動生成できるウェブサービス「KIYAC」(キヤク)に搭載されているひな形(ご提供:弁護士法人飛翔法律事務所 三島大樹先生)を利用しました。KIYACを使えばこれらのひな形条文を利用した反社会的勢力でないことに関する確約書を数分程度で作成できますので、手元に契約書ひな形がない人は是非利用してみてくださいね。

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