弁護士が教えるキャラクター商品化権許諾契約書の作り方

この記事では、弁護士が、キャラクターを商品化するときの許諾に関する契約書(キャラクター商品化権許諾契約書)の作り方をひな形条文つきで解説します。

キャラクター商品化権許諾契約書を今すぐ準備しないといけない方は必見です。

本記事で紹介する文書はKIYACで簡単に作ることができます。

目次

キャラクター商品化権許諾契約書とは

キャラクターを利用したライセンス商品を開発・製造・販売する場合には、キャラクターについての権利保有する権利者(ライセンサー)と、商品を開発・製造・販売する事業者(ライセンシー)との間でのライセンス契約が必要となります。

キャラクターを商品にする権利の集合を、実務上、「商品化権」などと呼んでいます。

ライセンスにあたっては、ライセンサーが意図しない形での商品流通を防止するために、許諾の範囲を明確に定める必要があります。

また、どのような計算でロイヤルティ(ライセンス料)が発生するのかについても、具体的に特定して定める必要があります。

各条項の解説

許諾対象の特定

はじめに、利用許諾をする対象のキャラクターを具体的に特定します。

そして、当該キャラクターを使って、どのような商品を製造販売するのかについても、具体的に記述します。

末尾記載の甲及び乙は、甲が著作権を有する別紙記載の著作物(以下「本件著作物」という。)に含まれるキャラクターの商品化権の許諾に関して、次の通り契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第○条(利用許諾)
1 甲は乙に対し、本契約の期間中、甲のキャラクター及びその名称(以下「本件キャラクター」という。)を複製その他の方法によって使用して、下記に定める商品(以下「本商品」という。)を製造及び販売する独占的権利(以下「本商品化権」という。)を許諾する。
                 記
  ○○
2 本商品化権を実施するため、甲は乙に対し、必要な素材を貸与するものとし、乙は、これらを利用して本商品化権を行使することができる。

許諾の範囲

ライセンスを受けた側で、キャラクターをどこまで利用することができるのか、具体的に定めます。

商品の製造、販売に利用できるのは当然として、それを超えた広告宣伝にどこまで活用できるのか。当該商品の広告宣伝だけではなく、ライセンスを受けた会社の一般的な広告宣伝でも活用できるのかなど、ケースに応じて検討することになります。

第○条(許諾範囲)
1 乙が本商品化権を行使できる範囲は、乙の本商品の製造及び販売並びに本商品に関連し甲及び乙が合意する宣伝広告物の製作及び公表とする。
2 乙が前各号に定める以外の宣伝広告物に、本件キャラクターの利用を希望する場合には、事前に甲に申し出るものとし、甲乙協議のうえ使用条件について定めるものとする。
3 甲は、本商品と直接競争関係にない商品について本件キャラクターを使用する商品化権を第三者に許諾する権利を留保する。
4 乙は、甲の事前の書面による承諾なく、本商品化権を第三者に譲渡し、若しくは再許諾し、又は第三者のために担保を設定してはならない。
5 乙による本商品化権の行使は、日本国内に限定される。

ロイヤルティ

キャラクターを活用して商品やサービスを販売した結果得られる収益から、いくらのロイヤルティ(ライセンス料)を取得するのか、その計算式はどのようになるのか、計算の期間はどのようになるのか、支払い期日はいつになるのかについて、具体的に記載しましょう。

ロイヤルティの設定については、商品販売個数ごとのロイヤルティと別途、初期費用としてイニシャルコストを設定することもあります。

第○条(対価)
1 乙は、本商品の販売個数を1か月(毎月1日から末日まで)毎に集計した上で、翌月10日までに甲に通知するものとし、翌々月末までに下記の使用料を甲に支払うものとする。
                記
○○
2 乙は、甲に対し、前項と別途、本商品化権許諾の対価として、下記のイニシャルコストを甲が指定する銀行口座に振り込み支払うものとする。(振込手数料は乙の負担とする。)
                記
○○

品質管理

キャラクターはイメージの保持、統一が非常に重要なので、ライセンスするといっても、イメージの保持統一のために、ライセンサー側で、一定の品質管理をできるようにしておくのが無難です。

具体的には、個別の商品ごとに、ライセンサーの監修を受ける、不合格となったものについては販売できない、監修の手続きなどを定めていくことになります。

第○条(品質管理)
乙は、本商品及び宣伝広告物に関し、本件キャラクターのイメージを損なうような行為をしないように留意するとともに、次の各号の定めを遵守しなければならない。
(1)乙は本商品製造及び宣伝広告物につき、可変可能な段階で、甲の監修及び承認を得なければならない。
(2)甲の監修の結果、本商品及び宣伝広告物が不合格となった場合、甲は乙に対して不合格になった理由を通知するものとし、乙は修正後改めて甲の監修を受けるものとする。
(3)甲は、乙が監修を依頼した本商品及び宣伝広告物について、合理的な理由なく承認を拒絶し、又は保留してはならない。
(4)乙は、前各号に定める監修を受けた後、製造した本商品及び宣伝広告物の完成品を、販売又は公表を開始する前に、甲に提出するものとする

一般条項

以上が骨格となる部分ですが、以上の他、一般的な契約に含まれる条項を挿入しましょう。

一般条項の具体的な内容については、以下の記事を参考にしてください。

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キャラクター商品化権許諾契約書を作成するときに気をつけること

以上、キャラクター商品化権許諾契約書を作成するときに気をつけるべきことは

  • 許諾対象の特定
  • 許諾の範囲
  • ロイヤルティ
  • 品質管理

です。

なお、今回紹介したひな形条文については、いくつかの質問に答えるだけで法律文書を自動生成できるウェブサービス「KIYAC」(キヤク)に搭載されているひな形(ご提供:弁護士法人飛翔法律事務所 吉田尚平先生)を利用しました。KIYACを使えばこれらのひな形条文を利用したキャラクター商品化権許諾契約書を数分程度で作成できますので、手元に契約書ひな形がない人は是非利用してみてくださいね。

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