弁護士が教える貨物運送契約書の作り方

この記事では、弁護士が、一般的な貨物運送契約書の作り方をひな形条文つきで解説します。

貨物運送契約書を今すぐ準備しないといけない方は必見です。

本記事で紹介する文書はKIYACで簡単に作ることができます。

目次

貨物運送契約書とは

各条項の解説をする前に、そもそも貨物運送契約書とはどのような役割をする契約書なのでしょうか。

読んで字のごとく、荷主が運送会社に対して貨物の運送を依頼する際の契約書ですが、契約書で定めておかずに単に注文書や見積書だけで取引をすると、具体的なルート、荷物の内容、料金体系など、後日トラブルになった場合に解決の処方箋がなくなってしまいます。

取引を始めるにあたって、必ず貨物運送契約書を締結するようにしましょう。

なお、契約書には「基本契約」と「個別契約」があります。さまざまなルートで多種多様な商品を運ぶ、、、という場合には、基本契約を締結し、個別の配送に関しては個別契約書で定めるといった形で書き分けるのも便利です。

ここではシンプルに荷物の内容や料金などを直接記載するスタイルの契約書を紹介します。

各条項の解説

委託する貨物運送の内容

まず、委託する業務が、どのような貨物を、どこからどこまで運送するものなのかについて、特定するところから始めましょう。

ルートや商品が不特定で、契約書に記載することが困難な場合には、冒頭で紹介したように基本契約にして、個別のルートや配送商品については別途個別契約書や注文書で定めることが考えられます。

第○条(業務の範囲)
甲が乙に委託する本業務は、下記のとおりである。
      記
目的物:甲の商品〇〇

積荷地及び目的地:甲の〇〇工場から〇〇の〇〇倉庫まで

運賃

運送業務に対する運賃について具体的に記載しましょう。一回あたりの運送でいくらなのか、その支払いサイクルはどのようになるのか、振込手数料はどちらが負担するのかといったことを明示しましょう。税別税込についても争いになることがあるので明示するようにしましょう。

第○条(運賃等)
1 本業務にかかる運賃、料金、その他の諸費用(以下「運賃等」という。)については、下記のとおりとする。
      記
  ○円
(中略)
第○条(支払方法)
1 乙は、前条に定める運賃等について毎月末日をもって締め切り、翌月○日までに甲に対し請求書を発行する。
2 甲は、前項の請求書に記載された期限までに、運賃等を乙の指定する銀行口座に振り込んで支払う。ただし、振込手数料は甲の負担とする。

貨物の受渡方法

貨物を受け渡す際にどのような方法で数量、内容の確認をするか、その手続きについて明記しましょう。

品物によって手続きを変える場合には方法論については個別契約に委ねる形とすることも考えられます。

第○条(貨物の受渡方法)
甲から乙に対する貨物の受渡しについては、運送状、積込明細書と貨物を照合して行うものとする。

交通事故

貨物運送契約特有の条項として、交通事故があった場合の責任分界があります。

一般的な損害賠償条項でも対応はできなくはないですが、頻出のトラブルでもありますので、責任の所在について明示するようにしましょう。

第○条(交通事故)
本業務の遂行過程で発生した交通事故については、乙が責任をもって対応、処理するものとし、甲はその責を負わないものとする。

一般条項

以上が骨格となる部分ですが、以上の他、一般的な契約に含まれる条項を挿入しましょう。

一般条項の具体的な内容については、左リンク先の記事を参考にしてください。

貨物運送契約を作成するときに気をつけること

以上、貨物運送契約を作成するときに気をつけるべきことは、

  • 委託する貨物運送の内容
  • 料金
  • 受渡方法
  • 交通事故があった場合の取り扱い

です。

なお、今回紹介したひな形条文については、いくつかの質問に答えるだけで法律文書を自動生成できるウェブサービス「KIYAC」(キヤク)に搭載されているひな形(ご提供:弁護士法人飛翔法律事務所 三島大樹先生)を利用しました。KIYACを使えばこれらのひな形条文を利用した貨物運送契約書を数分程度で作成できますので、手元に契約書ひな形がない人は是非利用してみてくださいね。

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