弁護士が教える採用内定通知書の作り方

この記事では、弁護士が、一般的な採用内定通知書の作り方をひな形条文つきで解説します。

採用内定通知書を今すぐ準備しないといけない方は必見です。

本記事で紹介する文書はKIYACで簡単に作ることができます。

目次

採用内定通知書とは

採用内定とは、労働者と使用者の間で、採用日前に、入社予定日を始期とする解約権留保付きの労働契約が成立することを意味します。

一般の就職活動や転職活動では、採用内定後に、労働者側に、雇用契約締結のための特段の意思表示は要求されないことが通常です。

そのため、内定通知によって、雇用契約が成立すると考えられています(この考え方は、過去の最高裁判所の判決(大日本印刷事件)で明示されています)。

そのため、採用内定したにもかかわらず、就労開始までの間に、企業側から一方的に内定取消しすることは、実質的に解雇であると評価されることがあり、この場合、解雇に関する厳格なルールが適用される可能性があります。

そのため、内定通知にあたっては、どのような書類を提出しなければならないのかなど、入社の手続き(条件)に関して定めることが推奨されます。もし条件に違反した場合には、内定が取り消せるようにしておくためです(解約権の留保)。

各条項の解説

採用内定の明示

まずは、採用を内定したことについて明言しましょう。

この際、入社予定日についても明示するようにしましょう。これが法的に雇用契約の「始期」となり、始期までは雇用契約は開始しないこととなります。

○○○○様
                    商号
                    代表者名           ㊞
拝啓 時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、先日は、当社入社試験にご応募いただき誠にありがとうございました。厳正なる選考の結果、貴殿を採用することが内定しましたのでご連絡いたします。

      記
1.入社日(予定)
xxx

入社手続きの明示

つぎに、入社にあたって必要となる手続きを明示しましょう。

今回は、いくつかの必要書類を、期限までに提出することを求める場合のひな形を紹介します。

もし、期限までに必要書類を提出しなかった場合には、企業側に留保された解約権を発動することになります(ただし、具体的な解約権の発動にあたっては、それが解雇と評価されないか、個別に専門家への相談を推奨します。)。

つきましては、同封の下記書類に必要事項をご記入いただき、期限までにご返送いただきますようお願い申し上げます。
      記
2.提出書類 
入社承諾書
誓約書
身元保証書
3.提出期限
○年○月○日(必着)

内定取消し事由の明示

さらに、就業規則策定済の企業においては、就業規則における解雇事由を参照するなどして、どのような場合に内定取消しになるのかについて、具体的に列挙することも検討できます(解約権の留保)。

就業規則を策定していない小規模な事業所では、就業規則を参照することはできませんが、たとえば提出書類に虚偽記載があった場合などを取り消し自由として記載することが考えられます。

採用内定通知書を作成するときに気をつけること

以上、採用内定通知書を作成するときに気をつけるべきことは

  • 採用内定の明示
  • 入社手続きの明示
  • 内定取消し事由の明示

です。

なお、今回紹介したひな形条文については、いくつかの質問に答えるだけで法律文書を自動生成できるウェブサービス「KIYAC」(キヤク)に搭載されているひな形(ご提供:弁護士法人飛翔法律事務所 三島大樹先生)を利用しました。KIYACを使えばこれらのひな形条文を利用した採用内定通知書を数分程度で作成できますので、手元に契約書ひな形がない人は是非利用してみてくださいね。

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