弁護士が教えるポイント規約の作り方

この記事では、弁護士が、一般的なポイント規約の作り方をひな形条文つきで解説します。

実店舗やECなどでポイント規約を今すぐ準備しないといけない方は必見です。

本記事で紹介する文書はKIYACで簡単に作ることができます。

目次

ポイント規約とは

各条項の解説をする前に、そもそもポイント規約とはどのような役割をするものなのでしょうか。

多くの実店舗やECなどで、商品やサービスを購入したユーザーに対してポイントを付与する(そしてそのポイントを将来なんらかの形で利用できる)仕組みを導入している、あるいは導入を検討しているお店は多いと思います。

ポイント自体は、自由に発行することができますが、どのような場合にポイントが付与され、どのような場合に利用できるのか、さらにはどのような場合にポイントがなくなるのかといったことに関して、何もルールを定めておかなければ、店舗側もユーザー側も混乱をきたすおそれがあります。

そこで、ポイント規約を整備して、店舗にとっても、ユーザーにとっても、ポイントを安全で使いやすいものにするのです。

各条項を作るときのポイント

では、ポイント規約にはどのような条文を記載することになるのか、具体的に説明していきます。

ポイント規約への同意

これは、どのような利用規約であっても一般的なものですが、規約に対して同意する旨の条項を必ず記載します。形式的なものではありますが、後日「私は同意していない」と言われたときに対応するため、必ず挿入するようにしましょう。

たとえば次のような条項が考えられます。

本規約への同意
ユーザーは、ポイントの発行を受け、またはこれを利用することによって、本規約に有効かつ取り消し不能な同意をしたものとみなされます。本規約に同意しないユーザーは、本サービスをご利用いただけません。

利用登録

ユーザーを登録する仕組みがある場合は、利用登録に関する条文も挿入しましょう。

利用登録に関する条文で重要なのは、どのような場合に登録拒否ができるかという条項です。

たとえば過去にポイント規約に違反したことがある場合には、登録申請があっても登録できないと定めることで、悪質な顧客の登録を防ぐことができます。

次のような条項が考えられます。

利用登録
ポイントの利用を希望するユーザーは、本規約に同意の上、当社の定める方法によって利用登録を申請するものとします・・・(中略)
当社は、以下のいずれかの事由があると判断した場合、利用登録の申請を承認しないことがあります。当社は登録拒否の理由について一切の開示義務を負いません。
・虚偽の事項を届け出た場合
・本規約に違反したことがある者からの申請である場合
(以下略)

カードの紛失、再発行

実店舗で、物理的なカードを発行する場合は、カードの紛失や再発行に関する条項を挿入しましょう。

「カードを無くしてしまった」という場合にトラブルになりやすいのが、これまで貯めたポイントがどうなるのかという点です。

これについては、会社側で付与ポイント数を計測できる仕組みがあれば良いですが、それがない場合にはユーザーの言い分を信じて良いのか、わからない場面が想定されます。

そこで、ポイント計測の仕組みがない場合には、一律、ポイントは失効として、新しいカードを発行するという条項にしておくのが無難です。

たとえば次のような条項が考えられます。

カードの紛失、再発行
ユーザーは、本カードを紛失し、または盗難された場合は、当社が指定する方法により速やかに当社に届け出なければなりません。紛失または盗難されてから当社が本カードの失効または利用停止措置を講じる前になされたポイントの利用によって生じた損害につき、当社に故意又は重大な過失がある場合を除き、当社は一切の責任を負いません。
当社は、前項の届出を行ったユーザーについて、過去に発行した本カードを失効させた上で、新しい本カードを発行することができるものとします。

ポイントの付与、付与率

どのような購入に対して、どれだけのポイントを付与するのかに関する条項です。

百円ごとに1ポイント、二百円ごとに1ポイントなど、事業者側で付与率を決定しましょう。

そして1ポイントを何円と換算するのか、あるいは、円換算はせずに、サービスの提供にするのかという、ポイントの使い方についても明確に記載するようにしましょう。

頻繁に内容の改訂が考えられる場合は、付与率などについては別表に定めることとしても便利です。

たとえば次のような条項が考えられます。

ポイントの利用
ユーザーは、当社または当社の提携先において、商品の購入、サービスの提供その他の取引を行う際に、当社が定める方法により、ポイントを1ポイント当たり1円に換算した上で、代金、料金等の支払に利用することができます。
当社または当社の提携先が指定する一部の商品またはサービスについて、当社または当社の提携先の指定により、ポイントが利用できないことがあります。

一般条項

以上が骨格となる部分ですが、そのほか、一般的な利用規約に含まれる条項を挿入しましょう。

一般条項の具体的な内容については、左リンク先の記事を参考にしてください。

なお、ECサイト本体の利用規約を別途定めている場合には、一般条項については利用規約に従う、として省略することも可能です。

ポイント規約を作成するときに気をつけること

以上、ポイント規約を作るときに気をつけるべきことは、

  • ポイント規約への同意
  • 登録の仕組み
  • カードの紛失、再発行
  • ポイント付与や付与率についてのルール

です。これらの点に特に留意してポイント規約を作成しましょう。

なお、今回紹介したひな形条文については、いくつかの質問に答えるだけで法律文書を自動生成できるウェブサービス「KIYAC」(キヤク)に搭載されているひな形(ご提供:永井法律事務所 永井利幸先生)を利用しました。KIYACを使えばこれらのひな形条文を利用したポイント規約を数分程度で作成できますので、手元にひな形がない人は是非利用してみてくださいね。

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