弁護士が教えるウェブサイト保守契約書の作り方

この記事では、弁護士が、一般的なウェブサイト保守契約書の作り方をひな形条文つきで解説します。

ウェブサイト保守契約書を今すぐ準備しないといけない方は必見です。

本記事で紹介する文書はKIYACで簡単に作ることができます。

目次

ウェブサイト保守契約書とは

各条項の解説をする前に、そもそもウェブサイト作成委託基本契約書とはどのような役割をする契約書なのでしょうか。

ウェブ制作の世界では、さまざまな仕事が「業務委託」で行われています。アウトソースという言葉が使われることもありますが意味は同じです。

そして、業務委託やアウトソースは、契約書がなくても法的には有効に成立します。

その意味で、ウェブサイトの保守に関する契約書は「法的に必ず作らなければいけないもの」ではありません(なお、ギグワーカー・フリーランス保護の目的で、契約書やそれに準じる書面の作成義務を委託者に課す法律の制定が議論されていますが、ここではこれ以上は触れません。)。

しかし、契約書がないと、何の保守を依頼したのか、代金はいくらなのか、といった、ありとあらゆることが「言った言わない」といった水掛け論になってしまい、非常にリスクが高いです。

とくに、ウェブ制作に詳しくない人にとっては「保守契約」という概念をそもそも理解していない場合もあります。そこで、トラブルが起きたときにも万全の対応ができるように、ウェブサイト制作に関しても業務委託契約書を準備することが強く推奨されます。

では具体的な条項を確認してきましょう。

各条項の解説

保守業務の内容を特定する

まずは、「保守」業務の具体的な内容を特定しましょう。

ウェブサイトの「保守」というのは、一般的なことばであって、法律用語ではありません。そのため「保守」に何がどこまで含まれるのかは、人によってさまざま、ということになります。

そこで、契約書では、保守の具体的な内容を確定し、「ここまではやるが」「ここからはやらない」という線引きをすることがリスクヘッジとして有用です。

たとえば次のような文例が考えられます。

第○条(業務内容)
本契約において、乙が甲に対して提供する保守業務(以下「本件業務」という。)は次のとおりとする。

・ドメイン、サーバーの管理
・データのバックアップ
・セキュリティ対策

契約期間と自動更新

保守契約はウェブ制作業者からするとストック型の売上になり、自動更新で永続することが望ましいと思います。

そこで、契約書の中で、契約期間と別途、双方から異議がなければ自動更新される条項を挿入しておくと安心です。

いつまでに異議を出せば良いのかについて、設定は自由です。1年契約であれば1ヶ月前まで、などとすることが比較的多いですが、自由に設定できます。

たとえば次のような文例が考えられます。

第○条(契約期間)
本契約の有効期間は本契約締結日より1年間とする。但し、契約期間満了の1ヶ月前までに甲乙双方特段の申し出がなければ、自動的に同一期間延長されるものとし、以降も同様とする。

報酬

保守契約の報酬額を明記しましょう。税別、税込についても明記すると安心です。

支払いサイトについても、当月分を当月払いなのか、翌月払いなのか、何日払いなのかなど、明確にしておきましょう。すべて請求書に委ねてしまうと、後日水掛け論になってしまう恐れがあります。

振り込み手数料をどちらの負担にするかも明示しましょう。

たとえば次のような文例が考えられます。

第○条(報酬)
1 甲が乙に支払う報酬は、毎月○円(税込)とする。
2 乙は、当月分の報酬を甲に請求し、甲は、翌月末日までに、乙の指定する方法によりこれを支払うものとする。振込手数料は甲の負担とする。
3 報酬の支払に必要な振込手数料は、甲の負担とする。

免責

保守というと、何かトラブルになった時にはありとあらゆることを保守業者が責任を負う、と捉えられてしまう恐れがあります。

そこで、どこまでが責任の範囲で、どこからがそうではないのか、明示しておくことがリスクヘッジになります。

たとえば次のような文例が考えられます。

第○条(免責)
乙は、次の各号について責任を負わない。
(1) サーバメンテナンス、その他の理由により、一時的にウェブサイトが閲覧できない状態になること
(2) 対象ウェブサイトに内在する、あるいは内包されるバグによるトラブル
(3) 対象ウェブサイトへのアクセス数の増減、検索順位の上下、お問い合わせ等の発生
(4) 第三者の不正アクセスが原因として生じたデータ消去、流出
(5) 対象ウェブサイトの掲載情報の適法性、正確性、ならびに社会的な反響及び各広告媒体等の掲載ポリシー適合性

一般条項

以上が骨格となる部分ですが、以上の他、一般的な契約に含まれる条項を挿入しましょう。

一般条項の具体的な内容については、左リンク先の記事を参考にしてください。

ウェブサイト保守契約を作成するときに気をつけること

以上、ウェブサイト保守契約を作るときに特に気をつけるべきことは、

  • 保守業務の内容特定
  • 契約期間と自動更新
  • 報酬
  • 免責

です。

なお、今回紹介したひな形条文については、いくつかの質問に答えるだけで法律文書を自動生成できるウェブサービス「KIYAC」(キヤク)に搭載されているひな形(ご提供:弁護士法人飛翔法律事務所 中島和也先生)を利用しました。KIYACを使えばこれらのひな形条文を利用したウェブサイト保守契約書を数分程度で作成できますので、手元に契約書ひな形がない人は是非利用してみてくださいね。

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