EC・ネットショップを運営していると誰もが一度は経験する、商品の受領拒否・受領拒絶
「あんたが頼んだんでしょ・・・」と、なんともやるせない気持ちになりますが、何度も受領拒否を繰り返す顧客が出てきた場合、商品の返送に要する配送費用や事務手数料が膨れ上がっていきます。
「なんとかこの損害を請求したい!」と思ったときに有効なのが内容証明郵便の活用です。
この記事では商品を受領拒否した顧客に内容証明郵便を送る方法を解説します。
内容証明郵便って何?
「お客さんに損害金を請求するときには内容証明郵便を送らないと!」この記事に興味を持ってくださったあなたは、こんな話を耳にしたことがあるかもしれません。
しかしそもそも内容証明郵便とは何でしょうか?
内容証明郵便とは、そこに何が書かれていたかを証明できる郵便の差し出し方法です。
内容証明郵便を理解するためには、普通郵便と比較して考えるとわかりやすいです。
普通郵便を出しても、そこに一体何が書かれていたのか、差出人の手元には情報が残りません。
たとえば、多数回の受領拒絶を繰り返す顧客に対して、違約金を請求する内容の普通郵便を送ったとしても、顧客から、「そんなこと書かれてませんでしたよ」「そのような文書は受け取っていませんよ」と反論された場合、ショップ側で、手紙にかかれていた内容を証明しなければなりません。
「そんなこというやつ本当にいるのか?」と思うかもしれませんが、自分が頼んだ商品の受領拒絶を繰り返している時点で相当に悪質な顧客ですので、この程度の反論は想定しておいた方が無難です(弁護士もよく経験する反論です。)。
「いやいや、Wordファイルで作った手紙の文面が残っているから、大丈夫!」と思うかもしれませんが、Wordファイルの内容はあとからいくらでも書き換えることができ、発信者の手元にある情報だけで手紙の内容を証明することは、日本の裁判実務上は相当にハードルが高く、現実的ではありません。
そこで登場するのが内容証明郵便です。
内容証明郵便は、発信者(ネットショップ)の手元と、差し出し事務を行った郵便局に、相手に送った文書と同じ内容の文書が残る制度です。
内容証明郵便を使うことで、相手にどのような文書を送ったのかを簡単に証明することができるようになるのです。
ただし、内容証明郵便は、「そこに書かれていることが真実であること」を証明するものではありません。
「何度も商品の受領拒絶を繰り返した」と文書に書いてあっても、顧客がその事実を否定した場合、ショップ側で追加の証拠資料を提出して受領拒絶の事実を証明する必要が生じます(一般的なネットショップであれば、受領拒絶が生じた際の配達履歴などで証明することが可能なケースが多いものと思われます。)
配達証明を忘れずに!
以上のとおり、内容証明郵便を使えば、そこに何が書かれてあったかを証明することができます。
他方で、「そんな文書は受け取ってない」という反論をされた場合はどうでしょうか。
たとえば、あなたのショップの利用規約に、「内容証明郵便を受領してから7日以内に何らの回答もない場合、売買契約を解除したものとみなします」と記載されていたとして、顧客が内容証明郵便の受領日を争ってきた場合、ショップ側で受領日を証明しなければなりませんが、単純な内容証明郵便では、受領日の証明はできません。
そこで登場するのが「配達証明」です。配達証明を使うと、その文書がいつ相手方に配達されたのかを郵便局が証明してくれます。
これで、「そんな文書は受け取っていない」という反論をかわすことができます。
商品の受領拒絶を繰り返す顧客に請求文書を送るときは「配達証明付きの内容証明郵便」を使うようにしましょう。
配達証明付きの内容証明郵便を送る前に
ところで、配達証明付きの内容証明郵便を送る前に、まずはあなたのショップの利用規約を確認しておきましょう。
受領拒否があった場合に、再配達の費用や事務手数料、内容証明郵便の送達費用等を損害金として顧客に請求できる、という条項は含まれていますか?
もし含まれていないのであれば、これらの損害金を相手方に請求することは難しくなってきます(少なくとも相手方から支払いを拒絶される可能性がきわめて高くなります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。)。
この点、いつくかの簡単な質問に答えるだけで法律文書を自動生成できるKIYAC(キヤク)を使えば、ネットショップ用の利用規約をわずか数分で作成することができますので、とても便利です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
あまりにも悪質な顧客に対しては、ショップ運営上も、毅然とした態度で臨むことが求められます。是非配達証明付きの内容証明郵便制度を活用することを検討してみてください。